perl5202delta - perl v5.20.2 での変更点
この文書は 5.20.1 リリースと 5.20.2 リリースの変更点を記述しています。
5.20.0 のような以前のリリースから更新する場合は、まず 5.20.0 と 5.20.1 の違いについて記述している perl5201delta を読んでください。
故意に、5.20.1 から互換性がなくなるようにした変更はありません。 もし 5.20.1 との互換性がなければ、それはバグですので、報告をお願いします。 以下の "Reporting Bugs" を参照してください。
attributes はバージョン 0.22 から 0.23 に更新されました。
XS での memEQs
の使い方が修正されました。 [perl #122701]
Data::Dumper はバージョン 2.151 から 2.151_01 に更新されました。
深いデータ構造をダンプするときの再帰を制限する設定変数/オプションを 追加することで CVE-2014-4330 を修正しました。
Errno はバージョン 1.20_03 から 1.20_05 に更新されました。
Visual C++ コンパイラを使って Windows で XS をビルドしたときの警告が 除去されました。
feature はバージョン 1.36 から 1.36_01 に更新されました。
postderef
機能が文書化されました。 この機能は実際には Perl 5.20.0 で追加されましたが、誤って今まで機能文書に 記載されていませんでした。
IO::Socket はバージョン 1.37 から 1.38 に更新されました。
connected() メソッドの制限が文書化されました。 [perl #123096]
Module::CoreList はバージョン 5.020001 から 5.20150214 に更新されました。
対応する Perl バージョンの一覧が更新されました。
PathTools はバージョン 3.48 から 3.48_01 に更新されました。
XS をビルドするときの gcc コンパイラの警告が除去されました。
PerlIO::scalar はバージョン 0.18 から 0.18_01 に更新されました。
スカラの末尾よりも十分先の位置から読んだときに正しく EOF を 返すようになりました。 [perl #123443]
負の位置へのシークは失敗するままですが、ファイル位置を負の位置に 設定したままにはしなくなりました。
PerlIO::scalar
での eof()
は、ファイル位置が 32 ビットシステムの 2GB マスクより先のときに正しく真を返すようになりました。
Storable はバージョン 2.49 から 2.49_01 に更新されました。
文書への小さな文法的変更のみです。
VMS::DCLsym はバージョン 1.05 から 1.05_01 に更新されました。
文書の小さな書式変更のみです。
VMS::Stdio はバージョン 2.4 から 2.41 に更新されました。
文書の小さな書式変更のみです。
この文書は Tom Christiansen によるもので、Perl で Unicode を扱う例を 提供します。
サブルーチンシグネチャへの参照が追加されました。 この機能は実際には Perl 5.20.0 で追加されましたが、誤って今まで実験的機能文書に 記載されていませんでした。
機能が実験的という状態を卒業するためのプロセスが公式に文書化されました。
省略文の文書の曖昧さが修正されました。 [perl #122661]
以下の追加や変更が、警告や致命的エラーメッセージ含む診断出力に行われました。 完全な診断メッセージの一覧については、perldiag を参照してください。
Bad symbol for scalar が文書化されました。 このエラーは新しくありませんが、以前は文書化されていませんでした。
Missing right brace on \N{} が 文書化されました。 このエラーは新しくありませんが、以前は文書化されていませんでした。
テストスクリプト re/rt122747.t が、 perl #122747 が 修正されているかどうかを確認するために追加されました。
IRIX と Tru64 のプラットフォームは再び動作するようになりました。 (いくつかの make test
の失敗は残っています。)
AIX で getsockopt
の長さを正しく設定するようになりました。 [perl #120835], [cpan #91183], [cpan #85570]
Perl 5.20.0 では、$^N
に、正規表現の内側のコードブロックから、実際には UTF8 エンコードされている値にアクセスすると、誤って内部 UTF8 フラグを オフにしていました。 これは修正されました。 [perl #123135]
サブルーチンの名前が使われる様々な場合 (オートロード、オーバーロード、 エラーメッセージ) で、レキシカルサブルーチンの場合にクラッシュしていましたが、 これは修正されました。
デバッグが有効の状態で sort
をパースするときのアサート失敗は 修正されました。 [perl #122771]
正規表現マッチングの間の UTF8 テーブルの読み込みは、前回のマッチングで 同じ正規表現を使っていた場合、デバッグビルドだと アサート失敗することがありました。 [perl #122747]
文字列コピーのロジックのミスにより、state 変数の値のコピーによって、 値を盗んで変数を未定義にすることがありました。 このバグは Perl 5.20 で導入され、ほとんどの場合は長い (1250 文字以上の) 文字列で起こりましたが、コピーオンライトが無効のビルドではどんな文字列でも 起こることがありました。 [perl #123029]
コンパイル中に perl が無限ループを実行することがあるバグを修正しました。 [perl #122995]
Win32 では、fork
が起きる前に親疑似プロセスで local()
された変数を 子疑似プロセスで復元すると、子疑似プロセス(そして OS プロセス)でメモリ破壊と クラッシュを引き起こしていました。 [perl #40565]
コンパイル時に評価された、汚染された定数は、無関係な文を汚染しなくなりました。 [perl #122669]
^**
フィールドを持つフォーマットに対して write
を呼び出すと、 引数が不足していたりフィールドを埋めるために使われる変数が空であったりする 場合にパニックを引き起こすことがありました。 [perl #123245]
Perl 5.20.0 では、sort CORE::fake
('fake' はキーワード以外の何らかの 文字列) は、末尾の 6 文字を切り落としてソートサブルーチンの結果として 扱っていました。 "CORE::fake" をソートサブルーチン名として扱うという以前の振る舞いが 復元されました。 [perl #123410]
セグメンテーションフォルトやその他のクラッシュを引き起こすことがある 正規表現パターンのバグが修正されました。 これは "/i"
付きでコンパイルされたパターンで、現在の POSIX ロケールを 考慮する (これは普通、"use locale"
のスコープ内でコンパイルされる必要が あることを意味します) 場合にのみ起き、少なくとも連続して 128 バイト マッチングする文字列でなければなりません。 [perl #123539]
qr/@array(?{block})/
は "Bizarre copy of ARRAY" で die しなくなりました。 [perl #123344]
gmtime
は非数値でクラッシュしなくなりました。 [perl #123495]
s/${<>{})//
のような、置換でのある種の文法エラーでクラッシュしていて、 これは Perl 5.10 からでした。 (一部の場合はクラッシュは Perl 5.16 まで起こりませんでした。) このクラッシュは、もちろん、修正されました。 [perl #123542]
Perl 5.20.1 で導入された、一部の正規表現でのメモリリークは修正されました。 [perl #123198]
formline("@...", "a");
はクラッシュしていました。 FF_CHECKNL
で chop 位置をマークするために使われるポインタを セットしておらず、FF_MORE
がセグメンテーションフォルトで クラッシュしていました。 これは修正されました。 [perl #123538] [perl #123622]
正規表現中にリテラルパターンをパースするときにバッファオーバーランと クラッシュの可能性がある問題は修正されました。 [perl #123604]
レキシカルサブルーチンが sort
への SUBNAME
引数として使えないのは 既知のバグです。 これは将来のバージョンの Perl で修正される予定です。
Perl 5.20.0 で導入された、単一の ASCII 小文字を含む UTF-8 エンコードされた 正規表現パターンがその大文字版にマッチングしないという退行が修正されました (Perl 5.20.1 でも同様に修正されていました)。 [perl #122655]
Perl 5.20.2 は、Perl 5.20.1 以降、34 人の作者によって、 170 のファイルに約 6,300 行の変更を加えて、 約 5 ヶ月開発されてきました。
自動生成ファイル、文書、リリースツールを除くと、80 の .pm, .t, .c, .h ファイルに約 1,900 行の変更を加えました。
Perl は、活気のあるユーザーと開発者のコミュニティのおかげで 20 年を超えて 繁栄しています。 以下の人々が、Perl 5.20.2 になるための改良に貢献したことが分かっています:
Aaron Crane, Abigail, Andreas Voegele, Andy Dougherty, Anthony Heading, Aristotle Pagaltzis, Chris 'BinGOs' Williams, Craig A. Berry, Daniel Dragan, Doug Bell, Ed J, Father Chrysostomos, Glenn D. Golden, H.Merijn Brand, Hugo van der Sanden, James E Keenan, Jarkko Hietaniemi, Jim Cromie, Karen Etheridge, Karl Williamson, kmx, Matthew Horsfall, Max Maischein, Peter Martini, Rafael Garcia-Suarez, Ricardo Signes, Shlomi Fish, Slaven Rezic, Steffen Müller, Steve Hay, Tadeusz Sośnierz, Tony Cook, Yves Orton, Ævar Arnfjörð Bjarmason.
これはバージョンコントロール履歴から自動的に生成しているので、ほぼ確実に 不完全です。 特に、Perl バグトラッカーに問題を報告をしてくれた (とてもありがたい)貢献者の 名前を含んでいません。
このバージョンに含まれている変更の多くは、Perl コアに含まれている CPAN モジュール由来のものです。 私たちは Perl の発展を助けている CPAN コミュニティ全体に感謝します。
全ての Perl の歴史的な貢献者のより完全な一覧については、どうか Perl ソース 配布に含まれている AUTHORS を参照してください。
もしバグと思われるものを見つけたら、comp.lang.perl.misc ニュースグループに 最近投稿された記事や http://rt.perl.org/perlbug/ にある perl バグ データベースを確認してください。 Perl ホームページ、http://www.perl.org/ にも情報があります。
もしまだ報告されていないバグだと確信したら、そのリリースに含まれている perlbug プログラムを実行してください。 バグの再現スクリプトを十分小さく、しかし有効なコードに切りつめることを 意識してください。 バグレポートは perl -V
の出力と一緒に perlbug@perl.org に送られ Perl porting チームによって解析されます。
もし報告しようとしているバグがセキュリティに関するもので、公開されている メーリングリストに送るのが不適切なものなら、 perl5-security-report@perl.org に送ってください。 このアドレスは、問題の影響を評価し、解決法を見つけ、Perl が対応している 全てのプラットフォームで問題を軽減または解決するパッチをリリースするのを 助けることが出来る、全てのコアコミッタが参加している非公開の メーリングリストになっています。 このアドレスは、独自に CPAN で配布されているモジュールではなく、 Perl コアのセキュリティ問題だけに使ってください。
変更点の完全な詳細を見る方法については Changes ファイル。
Perl のビルド方法については INSTALL ファイル。
一般的なことについては README ファイル。
著作権情報については Artistic 及び Copying ファイル。