perl5221delta - perl v5.22.1 での変更点
この文書は 5.22.0 リリースと 5.22.1 リリースの変更点を記述しています。
5.20.0 のような以前のリリースから更新する場合は、まず 5.20.0 と 5.22.0 の違いについて記述している perl5220delta を読んでください。
故意に 5.20.0 から互換性がなくなるようにした変更は、以下の一つを除いて ありません; 新しい \b{wb}
と (特に) \b{sb}
について、Perl 5.22.0 実装の バグのために、人々がこれらを無価値であると決定し、将来これらを使わないように するようになる前に、これらをまともにするために、目に見える変更を行いました。 もしその他にあれば、それはバグですので、報告をお願いします。 以下の "Reporting Bugs" を参照してください。
(Perl 5.22 で導入された) 境界チェック構文 \b{gcb}
, \b{sb}
, \b{wb}
, \B{gcb}
, \B{sb}
, \B{wb}
での、セグメンテーションフォルトを含む いくつかのバグが修正されました。 全ての \B{}
で空文字列がマッチングするようになり、全ての \b{}
で 空文字列がマッチングしないようになりました。 [perl #126319]
Module::CoreList はバージョン 5.20150520 から 5.20151213 に更新されました。
PerlIO::scalar はバージョン 0.22 から 0.23 に更新されました。
POSIX はバージョン 1.53 から 1.53_01 に更新されました。
POSIX::strerror
の引数に $!
が渡されると、誤って $!
を クリアしていました。 これは修正されました。 [perl #126229]
Storable はバージョン 2.53 から 2.53_01 に更新されました。
warnings はバージョン 1.32 から 1.34 に更新されました。
warnings::enabled
の例は、実際に warnings::enabled
を 使うようになりました。 [perl #126051]
Win32 はバージョン 0.51 から 0.52 に更新されました。
これは Windows 8.1, 10, 2012 R2 Server のために更新されました。
FIRSTKEY
と NEXTKEY
の使用法が明確化されました。
$!{E...}
の特定の真の値について、変更される可能性があり、保証されないことが 文書化されました。
以下の追加や変更が、警告や致命的エラーメッセージ含む診断出力に行われました。 完全な診断メッセージの一覧については、perldiag を参照してください。
組み込み関数 printf
と sprintf
は、警告の出力に対してより慎重に なりました: 引数の並べ替えは全ての場合において "redundant argument" 警告を 無効にするようになりました。 [perl #125469]
Perl 5.17.10 から、NO_HASH_SEED
定義をデフォルトのハッシュアルゴリズム PERL_HASH_FUNC_ONE_AT_A_TIME_HARD
と共に使うと、インタプリタの コンパイル時に致命的エラーになっていました。 これは修正されました。
クォートを含む ccflags (例えば -Accflags='-DAPPLLIB_EXP=\"/usr/libperl\"'
) での Configure は Perl 5.22.0 で壊れていましたが、再び修正されました。 [perl #125314]
IRIX の stdio の fgetc() と fread() は、ある種の状況で errno に ENOENT
を 設定しますが、IRIX や POSIX の文書によればこれは無意味なものです。 errno はこのような場合ではクリアされるようになりました。 [perl #123977]
long double に無限を掛けたときの問題が修正されました。 [perl #126396]
IRIX 上で、デフォルトのビルド設定で全てのテストが通るようになりました。
qr/(?[ () ])/
はもはやセグメンテーションフォルトを起こさず、代わりに 文法エラーを出すようになりました。 [perl #125805]
正規表現所有量指定子の Perl 5.20 での退行は修正されました。 qr/
PAT{
min,max}+
/
は qr/(?>
PAT{
min,max})/
と同じように振る舞うことが 想定されていました。 Perl 5.20 から、min と max が同じ場合は動作していませんでした。 [perl #125825]
"Extended Bracketed Character Classes" in perlrecharclass でのある種の 文法エラーで、適切なエラーメッセージが表示されずに panic していました。 これは修正されました。 [perl #126481]
BEGIN <>
はもはやセグメンテーションフォルトを起こさず、適切に エラーメッセージを出力するようになりました。 [perl #125341]
正規表現中の (?[...])
構文に 文法エラーがあると、適切なエラーメッセージが表示されずに セグメンテーションフォルトを引き起こすという、Perl 5.20 からの退行が 修正されました。 [perl #126180]
\c]
のようなものが panic を引き起こすという、 (?[...])
構文の もう一つの問題が修正されました。 [perl #126181]
Perl 5.22.0 では、-C オプションへの数値引数をパースするときのロジックが 変更され、正しくパース出来た数値が引数の末尾としてパースされた場合、その値が オプションの値として保存されていませんでした。 [perl #125381]
警告の致命的エラー化は、スタックを巻き戻すときには無視されるようになりました。 これにより、致命的エラーがスタックを巻き戻すときの無限ループを防ぎます。 [perl #123398]
%::=(); J->${\"::"}
でのクラッシュは修正されました。 [perl #125541]
/.{1}??/
のようなネストした量指定子は致命的エラーを投げるべきですが、 Perl 5.20.0 から暗黙に受け入れていました。 これは修正されました。 [perl #126253]
/(?i/
(および同様にフラグまたはフラグの組み合わせとして認識されるもの) のような正規表現並びは致命的エラーを投げるべきですが、Perl 5.18.0 から暗黙に 受け入れていました。 これは修正されました。 [perl #126178]
16 進浮動小数点数対応において、小数部分の末尾のゼロが多すぎることによって 仮数部がオーバーフローし、上位ビットが失われることがあるバグがありました。 これは修正されました。 [perl #126582]
もう一つの 16 進浮動小数点数のバグとして、仮数部の最後の 16 進数が、仮数部に 認められているビット数の制限をまたぐようなビットを持っている場合、下位ビットが 失われることがあるというバグがありましたが、これも修正されました。 [perl #126586]
さらなる 16 進浮動小数点数のバグが修正されました: 場合によっては、 %a
フォーマット指定子が負のゼロの符号を失ったり、指定された精度で小数点の 後にゼロを表示するのに失敗したり、さらには一番左の 16 進数の後の小数点を 完全に失ったりすることがありました。
(/(?[[0]+()+])/
のような) /(?[ ])/
の中の不完全な表現による クラッシュが修正されました。 [perl #126615]
Perl 5.22.1 は、Perl 5.22.0 以降、27 人の作者によって、 130 のファイルに約 19,000 行の変更を加えて、 約 6 ヶ月開発されてきました。
自動生成ファイル、文書、リリースツールを除くと、44 の .pm, .t, .c, .h ファイルに約 1,700 行の変更を加えました。
Perl は、活気のあるユーザーと開発者のコミュニティのおかげで 20 年を超えて 繁栄しています。 以下の人々が、Perl 5.22.1 になるための改良に貢献したことが分かっています:
Aaron Crane, Abigail, Andy Broad, Aristotle Pagaltzis, Chase Whitener, Chris 'BinGOs' Williams, Craig A. Berry, Daniel Dragan, David Mitchell, Father Chrysostomos, Herbert Breunung, Hugo van der Sanden, James E Keenan, Jan Dubois, Jarkko Hietaniemi, Karen Etheridge, Karl Williamson, Lukas Mai, Matthew Horsfall, Peter Martini, Rafael Garcia-Suarez, Ricardo Signes, Shlomi Fish, Sisyphus, Steve Hay, Tony Cook, Victor Adam.
これはバージョンコントロール履歴から自動的に生成しているので、ほぼ確実に 不完全です。 特に、Perl バグトラッカーに問題を報告をしてくれた (とてもありがたい)貢献者の 名前を含んでいません。
このバージョンに含まれている変更の多くは、Perl コアに含まれている CPAN モジュール由来のものです。 私たちは Perl の発展を助けている CPAN コミュニティ全体に感謝します。
全ての Perl の歴史的な貢献者のより完全な一覧については、どうか Perl ソース 配布に含まれている AUTHORS を参照してください。
もしバグと思われるものを見つけたら、comp.lang.perl.misc ニュースグループに 最近投稿された記事や https://rt.perl.org/ にある perl バグ データベースを確認してください。 Perl ホームページ、http://www.perl.org/ にも情報があります。
もしまだ報告されていないバグだと確信したら、そのリリースに含まれている perlbug プログラムを実行してください。 バグの再現スクリプトを十分小さく、しかし有効なコードに切りつめることを 意識してください。 バグレポートは perl -V
の出力と一緒に perlbug@perl.org に送られ Perl porting チームによって解析されます。
もし報告しようとしているバグがセキュリティに関するもので、公開されている メーリングリストに送るのが不適切なものなら、 perl5-security-report@perl.org に送ってください。 このアドレスは、問題の影響を評価し、解決法を見つけ、Perl が対応している 全てのプラットフォームで問題を軽減または解決するパッチをリリースするのを 助けることが出来る、全てのコアコミッタが参加している非公開の メーリングリストになっています。 このアドレスは、独自に CPAN で配布されているモジュールではなく、 Perl コアのセキュリティ問題だけに使ってください。
変更点の完全な詳細を見る方法については Changes ファイル。
Perl のビルド方法については INSTALL ファイル。
一般的なことについては README ファイル。
著作権情報については Artistic 及び Copying ファイル。