perl5243delta - perl v5.24.3 での変更点
この文書は 5.24.2 リリースと 5.24.3 リリースの変更点を記述しています。
5.24.1 のような以前のリリースから更新する場合は、まず 5.24.1 と 5.24.2 の違いについて記述している perl5242delta を読んでください。
大文字小文字無視修飾子付きのある種の正規表現パターンのコンパイル時に ヒープバッファオーバーフローを引き起こして perl が クラッシュすることがありました。 これは修正されました。 [perl #131582]
ある種の正規表現パターンの文法エラーにおいて、エラーメッセージが長くて ランダムなメモリの塊の内容を含んでいたり、perl が クラッシュしたりすることがありました。 これは修正されました。 [perl #131598]
$ENV{$key}
stack buffer overflow on WindowsWindows での %ENV
コード中でのバッファオーバーフローの可能性が 修正されました; どちらにしろこれは不要だったので、バッファを完全に 取り除きました。 [perl #131665]
故意に、5.24.2 から互換性がなくなるようにした変更はありません。 もし 5.24.2 との互換性がなければ、それはバグですので、報告をお願いします。 以下の "Reporting Bugs" を参照してください。
Module::CoreList はバージョン 5.20170715_24 から 5.20170922_24 に更新されました。
POSIX はバージョン 1.65 から 1.65_01 に更新されました。
Time::HiRes はバージョン 1.9733 から 1.9741 に更新されました。
GCC 6 とリンク時最適化 (gcc
の -flto
オプション) でビルドされたとき、 Configure はプローブされたシンボルに関して、実際に存在するかどうかに 関わらず全て存在するものとして扱っていました。 これは修正されました。 [perl #128131]
Configure は、-Duselongdouble
と -Dusequadmath
の両方が 要求された場合は中断するようになりました。 [perl #126203]
Configure が、既に存在していても archname に -quadmath
を 追加することがあるバグが修正されました。 [perl #128538]
-DPERL_GLOBAL_STRUCT
や -DPERL_GLOBAL_STRUCT_PRIVATE
での Clang のビルドが (これらの設定での Thread Safety Analysis を 無効にすることで) 修正されました。
configure.com は VSI ブランドの C コンパイラを認識するようになりました。
strtoll
と strtoull
の間違ったマッピングにより、64 ビットビルドの Perl で GCC 6 を使った XS モジュールのビルドに失敗していました。 これは修正されました。 [perl #131726] [cpan #121683] [cpan #122353]
/@0{0*->@*/*0
や似たようなねじれはクラッシュしていましたが、 もはやクラッシュせず、単に文法エラーが出力されるようになりました。 [perl #128171]
文字列化すると NUL 文字を含むようなリファレンスや型グロブを引数にした do
や require
は Perl 5.20 からクラッシュしていましたが、 修正されました。 [perl #128182]
&&
や ||
演算子 (およびその同義語の and
や or
) を含む式は 場合によっては間違ってコンパイルされていました。 左側が否定された裸の単語の定数または定数式を含む否定された do {}
ブロックで、右側が否定された畳み込みできない式の場合、 否定の片方が事実上無視されていました。 同じことは if
と unless
文修飾子でも起きていましたが、 右側と左側の条件は入れ替わっていました。 この長い間存在していたバグは修正されました。 [perl #127952]
引数付きの reset
はスタッシュエントリがグロブ以外でももはや クラッシュしなくなりました。 [perl #128106]
*::::::
という名前の型グロブのハッシュへの代入や削除はもはや クラッシュを引き起こさなくなりました。 [perl #128086]
bitwise
機能の基でのビット単位 op の代入は、左側が配列やハッシュの場合 クラッシュしていました。 [perl #128204]
socket() は、失敗時に システムから返された $!
のエラーコードを そのままにするようになりました。 [perl #128316]
間違った POSIX 文字クラスのパースでメモリリークしなくなりました。 [perl #128313]
Perl 5.20 から、perl が -x 付きで起動されたとき、行番号が 1 ずれていました。 これは修正されました。 [perl #128508]
同時に解放されたサブルーチンとファイルハンドルのいくつかの不明瞭な場合に クラッシュを引き起こすことがありましたが、これは修正されました。 このクラッシュは Perl 5.22 で導入されていました。 [perl #128597]
おかしなものをパースする一部の正規表現で、/(?<=/
と /(?<!/
のような正規表現でアサート失敗を引き起こすことがありました。 これは修正されました。 [perl #128170]
gethostent
および同様の関数は、torsocks ライブラリでの クラッシュを防ぐために、内部でヌルチェックを行うようになりました。 これは Perl 5.22 からの退行でした。 [perl #128740]
連続して 2 回同じ定数に言及 (これは文法エラーです) しても、 デバッグビルドの基でアサート失敗しなくなりました。 これは Perl 5.20 からの退行でした。 [perl #126482]
Perl 5.24 では、fchown
は -1 を引数として受け付けないように変更されました; 一部のプラットフォームではエラーになるからです。 しかし、いくつかのその他のプラットフォームでは引数を受け付けていました。 この変更は取り消されました。 [perl #128967].
"x"
が制御文字や非 ASCII 文字のとき、@{x
に引き続いて改行があっても、 もはや不明瞭な文法エラーやクラッシュを引き起こさなくなりました。 [perl #128951]
符号位置が 128 から 255 の間のときの tr/\N{U+...}/foo/
の Perl 5.24 からの 退行が修正されました。 [perl #128734].
16 進浮動小数点の printf "%a"
に関する多くの問題が修正されました。 さらに、非正規化数("subnormals") (以前は "denormals" として 知られていました) 浮動小数点数は、通常の IEEE 754 浮動小数点数 (64 ビット または 128 ビット) と x86 の 80 ビット「拡張精度」の両方に対応しました。 非正規化 16 進浮動小数点数リテラルは「指数アンダーフロー」に関する 警告が出ることに注意してください。 [perl #128843] [perl #128889] [perl #128890] [perl #128893] [perl #128909] [perl #128919]
evalbytes
の後に裸の単語がある場合にパーサがクラッシュすることが ありました。 [perl #129196]
正規表現パーサが文法的に間違ったパターンに対して正しく文法エラーの 位置を設定しない問題を修正しました。 [perl #129122]
メモリラップの可能性を避けることで、Perl の sprintf
実装の脆弱性が 修正されました。 [perl #131260]
Perl 5.24.3 は、Perl 5.24.2 以降、23 人の作者によって、 120 のファイルに約 3,200 行の変更を加えて、 約 2 ヶ月開発されてきました。
自動生成ファイル、文書、リリースツールを除くと、56 の .pm, .t, .c, .h ファイルに約 1,600 行の変更を加えました。
Perl は、活気のあるユーザーと開発者のコミュニティのおかげで 20 年を超えて 繁栄しています。 以下の人々が、Perl 5.24.3 になるための改良に貢献したことが分かっています:
Aaron Crane, Craig A. Berry, Dagfinn Ilmari Mannsåker, Dan Collins, Daniel Dragan, Dave Cross, David Mitchell, Eric Herman, Father Chrysostomos, H.Merijn Brand, Hugo van der Sanden, James E Keenan, Jarkko Hietaniemi, John SJ Anderson, Karl Williamson, Ken Brown, Lukas Mai, Matthew Horsfall, Stevan Little, Steve Hay, Steven Humphrey, Tony Cook, Yves Orton.
これはバージョンコントロール履歴から自動的に生成しているので、ほぼ確実に 不完全です。 特に、Perl バグトラッカーに問題を報告をしてくれた (とてもありがたい)貢献者の 名前を含んでいません。
このバージョンに含まれている変更の多くは、Perl コアに含まれている CPAN モジュール由来のものです。 私たちは Perl の発展を助けている CPAN コミュニティ全体に感謝します。
全ての Perl の歴史的な貢献者のより完全な一覧については、どうか Perl ソース 配布に含まれている AUTHORS を参照してください。
もしバグと思われるものを見つけたら、comp.lang.perl.misc ニュースグループに 最近投稿された記事や https://rt.perl.org/ にある perl バグ データベースを確認してください。 Perl ホームページ、http://www.perl.org/ にも情報があります。
もしまだ報告されていないバグだと確信したら、そのリリースに含まれている perlbug プログラムを実行してください。 バグの再現スクリプトを十分小さく、しかし有効なコードに切りつめることを 意識してください。 バグレポートは perl -V
の出力と一緒に perlbug@perl.org に送られ Perl porting チームによって解析されます。
もし報告しようとしているバグがセキュリティに関するもので、公開されている メーリングリストに送るのが不適切なものなら、 問題の報告方法の詳細について "SECURITY VULNERABILITY CONTACT INFORMATION" in perlsec を参照してください。
変更点の完全な詳細を見る方法については Changes ファイル。
Perl のビルド方法については INSTALL ファイル。
一般的なことについては README ファイル。
著作権情報については Artistic 及び Copying ファイル。