将棋はローグライクの夢を見るかこのエントリーをはてなブックマークに追加

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将棋はローグライク?

正直自分も将棋(いわゆる指し将棋)がローグライクとは思えません。 なんと言っても環境が自動生成されません。 環境が自動生成されるだけで「ローグライク」と呼ばれたりする昨今ですが、 さすがに自動生成でないとなるとなかなか難しいです。

ローグライクな将棋?

それでは逆に、自動生成される将棋ならどうでしょう?次のようなゲーム(V1)を考えてみます。

  • 詰将棋を自動生成する
  • プレイヤーは詰将棋を解く
  • 敵玉を詰めたらゲームクリア
  • 詰められなかったらゲームオーバー

一番の肝である詰将棋の自動生成は、かなり研究されているようなので、実装は可能のはずです。

それでは、ローグライクらしさの指標としてベルリン解釈をこのゲームに適用してみましょう。

  • ランダム環境生成 - ○(詰将棋は自動生成)
  • 恒久的な死 - ○(失敗したらゲームオーバー)
  • ターンベース - ○(将棋はターンベース)
  • グリッドベース - ○(将棋はグリッドベース)
  • モード切替なし - ○(モード切り替えする要素なし)
  • 複雑性 - ○(後述)
  • リソース管理 - ○(盤上の駒や持ち駒は制限されている)
  • ハック&スラッシュ - ×(1対多ではない)
  • 探索と発見 - ×(全ての情報は公開されている)

複雑性については、「問題の解法が複数ある」ということになっています。しかし詰将棋は問題の解法が一つしかないというのが条件の一つですのでこれは成り立ちません。

しかし、考えてみれば自動生成するのは色々な制約がある詰将棋である必要はなく、 いわゆる「次の一手」のようなもので十分です。 「次の一手」とは詰将棋とは異なり、初期配置は(理論的には)指し将棋の結果として表れるもので、王手をかけ続ける必要もありませんが、正しい手を指し続ければ数手後に敵玉を詰ませることが出来る問題です。

これは将棋AI同士を対戦させて、勝負が付いたら何手か巻き戻せば自動生成は可能でしょう(問題の質は期待できませんがゲームの面白さはここでは置いておきます)。

問題を次の一手にしたものをV2とすると、これはベルリン解釈の達成度7/9となり、 この基準ではかなりローグライクっぽいということになります。

将棋はローグライク?(再)

さて、こうして生まれたゲームはローグライクでしょうか。 正直自分でもローグライクさはかなり弱い感じがします。 それでは、なぜローグライクっぽくないと思えるのでしょう?

答えの一つは Traditional Roguelikeの定義にあると思います。ここでの定義を適用してみましょう。

  • 恒久的な結果 - ○
  • キャラクタ指向- ×
  • 自動生成 - ○
  • ターンベース - ○

このゲームはキャラクタ指向ではありません。 簡単に言うと「操作するのは自分自身」というのが成立しません (自玉を「自分自身」と見なして他の駒を使い魔のようなものと定義する、というようなことをすればぎりぎりですが、かなり無理があるでしょう)。 この要素がないとゲームはよりパズルに近づきます。実際「次の一手」は一種のパズルなのでその通りと言えます。

これは答えの一つですが、その他にも「○○だからローグライクらしくない」という要素があるかもしれません。それを考えることで逆にローグライクらしさのために必要な要素を考えるきっかけにもなるでしょう。

まとめ

思いつきを適当に文章にしただけなのでまとまった結論のようなものはありません。

本当はこのゲームにおけるもう一つの特徴的な部分である「初期配置以外にランダム要素がない」という点についても書きたかったのですが、だいぶ力尽きたのでこれはまたの機会に(ちなみに"Deterministic Roguelike"としてそこそこ議論があります)。