perllocale - Perl のロケール操作 (国際化と地域化)
Perl は「これは文字か」、「この文字の大文字はなにか」、「これらの文字のうちで
最初にくるのは何か」のような言語に固有なデータの
概念をサポートしています。
これらは特に英語以外の言語では重要なことです。
が、これは英語でも同様で、A-Za-z
がすべての「文字」を
定義していると考えてしまうのは単純すぎる(naïve)考えです。
Perl はまた、“.”以外の幾つかの文字を小数点として扱うことも
ありますし、日付の表現は言語によって変わりうるものです。
アプリケーションにそういったユーザーの選択を考慮させるためのプロセスは、
国際化(internationalization)と呼ばれます(これはしばしば
i18n と省略されます)。
アプリケーションを特定の選択に対応させることは地域化(localization、
l10n)として知られています。
Perl は言語固有なデータを、「ロケールシステム」と呼ばれる標準メソッド (ISO C, XPG4, POSIX 1.c)を通して理解することができます。 このロケールシステムは一つのプラグマ、一つの関数呼び出し、幾つかの 環境変数を使って、アプリケーション毎に制御します。
注意: この機能は Perl 5.004 で新たに追加されたもので、アプリケーションから
明示的にその使用を要求されない限り使われません --
過去互換性 を参照してください。
一つの例外が write()
で、これは 常に カレントのロケールを使用します -
注意 を参照してください。
Perl アプリケーションが、あなたのデータを、あなたの選択したロケールに 正しく従って理解し提供するのであれば、以下の すべて が真に なっていなければなりません:
あなたの使っているオペレーティングシステムがロケールシステムに 対応していなければなりません。 これに対応していれば、setlocale() という関数が C ライブラリの中に あるはずです。
あなたの使うロケールの定義がインストールされていなければなりません。 あなた、もしくは管理者はこれを正しく取り扱わねばなりません。 使うことのできるロケール、それらが置かれている場所、インストールされる 規則といったものシステム毎に変わります。 一部のシステムでは、固定のほんの少しのロケールだけを提供し、ユーザーが 新たに追加することを許していません。 別のシステムでは、システムのサプライヤーが提供した「準備された」ロケールを 追加することができます(あなたのサプライヤーに使っているオペレーティング システムと一緒に渡されていない準備されたロケールを提供するよう 依頼する必要があります)。 詳細はシステムのドキュメントを読んでください。
Perl が、ロケールシステムがサポートされていると信じていなければ
なりません。
もしそうなっていれば、perl -V:d_setlocale
は
d_setlocale
の値が定義されているように報告するでしょう。
Perl アプリケーションをあなたの使うデータを特定のロケールで処理したり
するようにしたいのであれば、そのアプリケーションコードはプラグマ
use locale
を適切な場所に、そして以下に挙げる項目の
少なくとも一つ が真でなければなりません。
あなた自身でやるにしろ、あなたの使うシステムの管理者がするにしろ、 アプリケーションの実行開始時には ロケールを決定する環境変数 (環境変数 を参照)が正しく設定されていなければなりません。
アプリケーションは、setlocale 関数 に記述されている メソッドを使う、自分用のロケールを設定しておかねばなりません。
デフォルトでは、Perl はカレントのロケールを無視します。
use locale
プラグマは Perl に、幾つかの操作においてカレントの
ロケールを使うよう指示します。
比較演算子 (lt
, le
, cmp
, ge
, gt
) と、POSIX の文字列比較
関数 strcoll()
および strxfrm()
は LC_COLLATE
を使用します。
sort()
は比較関数が陽に指定されなかった場合に影響を受けます。
これは、デフォルトでは cmp
を使うからです。
注意: eq
および ne
はロケールの影響を受けません。
これらの関数は常に文字毎の比較をそのスカラオペランドに対して実行します。
それに加えて、cmp
はそのオペランドがカレントのロケールで
指定される照合シーケンスで等しいものであった場合、さらに文字毎の
照合を行おうします。
ですから、オペランドの全部の文字が等しい場合にのみ cmp
は 0(等しい)を
返します。
eq
と cmp
が異なると判定する可能性のある二つの文字列がロケールを
考慮した照合で等しいかどうかを本当に知りたいのなら、
カテゴリー LC_COLLATE: 照合 の記述を参照してください。
正規表現と大小文字変換関数 (uc(), lc()
, ucfirst()
, lcfirst()) は
LC_CTYPE
を使用します。
書式関数(printf(), sprintf()
, write()) は LC_NUMERIC
を使用します。
POSIX の日付書式関数 (strfime()) は LC_TIME
を使用します。
LC_COLLATE
, LC_CTYPE
などは、ロケールカテゴリー でさらに
説明されています。
no locale
に出会うか、(use locale
を囲む)ブロックの終端に
達するとデフォルトの動作に戻ります。
ロケール情報を使っている操作の結果である文字列は、ロケールが信頼できない 可能性があるかのように、汚染されていることに注意してください。 セキュリティ を参照してください。
POSIX::setlocale() 関数を使って、実行時に好きな回数だけロケールを 切り替えることができます。
# This functionality not usable prior to Perl 5.004 require 5.004;
# Import locale-handling tool set from POSIX module. # This example uses: setlocale -- the function call # LC_CTYPE -- explained below use POSIX qw(locale_h);
# query and save the old locale $old_locale = setlocale(LC_CTYPE);
setlocale(LC_CTYPE, "fr_CA.ISO8859-1"); # LC_CTYPE now in locale "French, Canada, codeset ISO 8859-1"
setlocale(LC_CTYPE, ""); # LC_CTYPE now reset to default defined by LC_ALL/LC_CTYPE/LANG # environment variables. See below for documentation.
# restore the old locale setlocale(LC_CTYPE, $old_locale);
setlocale()
の第一引数には カテゴリー を、第二引数には
ロケール を与えます。
カテゴリーはロケール特有の規則を適用したいデータ処理の状況を指示します。
カテゴリー名は ロケールカテゴリー と 環境変数 に記述されています。
ロケールはカスタマイズを行うための、特定の言語の組み合わせ、国や地域、
コードセットに関する情報の集合の名前です。
ヒントとしてロケールの名前付けに注目してください。
すべてのシステムがこの例のようにロケールに名前を付けているわけでは
ありません。
第二引数が省略されていて、さらにカテゴリーが LC_ALL 以外の場合、この関数は
カテゴリーに対するカレントロケールの名前からなる文字列を返します。
この値を、後で行う setlocale()
の呼び出しでの第二引数として
使うこともできます。
カテゴリーが LC_ALL で、第二引数が与えられなかった場合には
その結果は処理系に依存するものとなります。
ロケールの名前を連結したものか(セパレーターはこれまた処理系依存のもの)、
単一のロケール名となります。
詳しくは setlocale(3)
man ページをあたってください。
第二引数が与えられていて、かつそれが正当なものであれば、カテゴリの
ロケールが設定され、この関数は現在のロケール値を返します。
この値は次の setlocale()
に呼び出しで使えます(一部の実装では、この
返り値は第二引数を与えたときと異なる場合があります -- これは与えた引数の
エイリアスと考えられます)。
例に示したように、第二引数が空文字列であった場合にはカテゴリーの、 対応する環境変数によりデフォルト指定されるロケールが返されます。 一般的にはこの結果は、Perl が起動したときに強制的にデフォルトとして 設定された値です。 アプリケーションが起動した後での環境変数の変更が認識される/されないは、 使用している C ライブラリに依存します。
第二引数が正しいロケールを表わしていない場合、 カテゴリーに対するロケールは変更されず、関数は undef を返します。
カテゴリーに対する詳細な情報は、setlocale(3) を参照してください。
ロケールが使えるシステムであれば、使用可能なロケールがどういったもので
あるかどうかを setlocale(3)
で調べてみてください
(SEE ALSO の章を探してください)。
それがダメだったら、以下のコマンドを試してみてください。
locale -a
nlsinfo
ls /usr/lib/nls/loc
ls /usr/lib/locale
ls /usr/lib/nls
ls /usr/share/locale
そして、そこに以下に挙げたものと似たものがあるかどうかを 確かめてください。
en_US.ISO8859-1 de_DE.ISO8859-1 ru_RU.ISO8859-5 en_US.iso88591 de_DE.iso88591 ru_RU.iso88595 en_US de_DE ru_RU en de ru english german russian english.iso88591 german.iso88591 russian.iso88595 english.roman8 russian.koi8r
残念ながら、setlocale() を呼び出すインターフェースが既に
標準化されているのにも関らず、ロケールの名前や、それが設定される
ディレクトリはまだなのです。
名前の基本形式は language_territory.codeset ですが、末尾の部分は
常にある訳ではありません。
language と country は通常は ISO 3166 や ISO 639 という
標準による、言語や国を二文字に略したものになります。
codeset の部分はしばしば文字集合 ISO 8859 の
バリエーションとなります。
たとえば、"Western codeset" と呼ばれる ISO 8859-1
は西欧における
エンコーディングとして用いることができます。
繰り返しますが、一つの標準の名前であってさえ、記述するには複数の方法が
存在するのです。
嘆かわしいことです。
“C”と“POSIX”という二つの特殊なロケールがあります。 現時点では、これら二つは同じロケールとなります。 その違いは主に、前者が C の標準により決められたものであるのに対して、 後者が POSIX の標準で決められているものであるという点にあります。 これらの規格が決めていることは、環境変数にあるロケール情報がない状態での プログラム起動時の デフォルトのロケール です (デフォルトの デフォルトロケールです)。 その言語は (アメリカ)英語であり、そのキャラクターセットは ASCII となります。
注意:すべてのシステムが "POSIX" ロケールを持っているわけでは ありません(すべてのシステムが POSIX に準拠しているわけではありません)ので、 明示的にこのデフォルトロケールを指定するのが必要なときには "C" を使います。
Perl を実行したときに以下のようなメッセージを見たことがあるかもしれません:
perl: warning: Setting locale failed. perl: warning: Please check that your locale settings: LC_ALL = "En_US", LANG = (unset) are supported and installed on your system. perl: warning: Falling back to the standard locale ("C").
これは、あなたのロケールの設定が、LC_ALL が“En_US”であり LANG が 存在しているが値を持っていないということを意味します。 Perlはあなたを信じようとしたのですができなかったのです。 その代わりに、Perl はロケール設定をあきらめて、デフォルトである "C" ロケールに戻ったのです。 これは通常はあなたのロケール設定が間違っているせいであり、聞いたことのない ロケールであったり、あるいはあなたのインストールに問題があったのだろう (例えば、一部のシステムファイルが壊れていたとか、なかったとか)と いうことです。 以下で述べるのは、この問題を手っ取り早く一時的に修復するものです。
二つの(一時的な)対応策とは、ロケールに関する矛盾を無視するように するというものと、Perl をデフォルトロケール "C" で実行するというものです。
Perl 起動時の問題は、環境変数 PERL_BADLANG にゼロ、たとえば "0" を設定することによって回避できます。 この方法は問題をカーペットの下に押し込むだけのことです: つまり、Perl が何か間違ったことを見つけたとしても Perl を 黙らせておくというものです。 もし後でロケールに依存した変な振る舞いがあったとしても 驚かないでください。
環境変数 LC_ALL に "C" を設定することにより、Perl はロケール "C" の下でも 実行することができます。 このやり方は PERL_BADLANG よりは多少まともなものですが、それでも LC_ALL (もしくは他のロケール変数)を設定するということは Perl 以外の プログラムにも影響を及ぼします。 特に、Perl の内側で実行される外部プログラムはこの変更に影響を 受けることになります。 新しい設定を恒久的なものにしたいというのであれば、あなたが実行する プログラム全てがこの変更に影響を受けることになります。 関係する環境変数の完全なリストは 環境変数 を参照してください。 また、Perl におけるそれらの効果については ロケールを使う を 参照してください。 他のプログラムに対する影響は簡単に避けられます。 たとえば、変数 LC_COLLATE はあなたの sort プログラム (もしくは「レコード」をアルファベット順に並べ替えるプログラム)に 影響を及ぼします。
これらの変数に対する変更を一時的に行ってテストすることができます。 そして新しい設定が助けになるものであればその設定をシェルのスタートアップ ファイルに追加するのです。 詳細はあなたの使っているシステムのドキュメントを調べてみてください。 Bourne シェルに似たシェル(sh, ksh, bash, zsh)であれば 以下のようになります:
LC_ALL=en_US.ISO8859-1 export LC_ALL
これは、コマンドが参照するロケールを "en_US.ISO8859-1" にしています。 Cシェルライクなもの(csh, tcsh)の場合には以下のようになります:
setenv LC_ALL en_US.ISO8859-1
あるいは、"env" プログラムがあるなら、どのようなシェルでも、以下のように 書けます:
env LC_ALL=en_US.ISO8859-1 perl ...
あなたがシェルについて良く知らないというのであれば、 あなたのおそばのヘルプデスク等に訊ねてみてください。
時間はかかるけれども優れた修正方法は、あなたの環境の間違っている部分を 正しくするというものです。 システム全体での間違いはあなたの使っているシステムの、フレンドリーな 管理者の助けを必要とするでしょう。
まず最初にこのドキュメントの ロケールを見つける を参照してください。 そこにはあなたの使うシステムで実際にサポートされているロケール、 そしてもっと重要なインストールされているロケールを見つけだす方法が 解説されています。 私たちが使ったエラーメッセージの例では、環境変数は重要度の高いものから 低いものへという順になっています。 したがって、LC_ALL を "En_US" に設定することは良くない選択であり、 これはエラーメッセージにも現れています。 まず最初にリストの最初にあるロケール設定を修正します。
次に、もしあなたがリストアップのコマンドを使って得たものが 正確に "En_US" のようなもの(接頭辞の一致は考慮せず、大小文字の違いは 考慮します)であれば、あなたが使っているロケール名に対応するものが システムに正しくインストールされていれば OK です。 この場合、あなたのシステムのロケール設定を恒久的に修正する を 参照してください。
これは以下のようなメッセージが出たけれども:
perl: warning: Please check that your locale settings: LC_ALL = "En_US", LANG = (unset) are supported and installed on your system.
"En_US" が先に挙げたコマンドによってリスト中になかった場合です。 "en_US.ISO8859-1" のようなものを見たかも知れませんが、まったく 同一のものではなかったのでしょう。 この場合、コマンドで挙げられたもの一致するロケールで 実行してみてください。 ロケール名のマッチングルールは少々はっきりしないものです。 それは、この分野に関する標準が弱いものであるからです。 一般的なルールについては ロケールを見つける をもう一度見てください。
システム管理者にコンタクトをとって、あなたの得たエラーメッセージそのままを レポートして、今ここまで読んできたことを説明してください。 システム管理者はシステムのロケール設定についてどこがどう間違っているかを 理解できるはずです。 標準化がなされていないので、コマンド名などに関して ロケールを見つける の 章は残念ながら少々あやふやなものになっています。
POSIX::localeconv() 関数は、カレントの LC_NUMERIC
や LC_MONETARY
で
指定されるロケール依存の数値書式の情報を取り出します(ある特定の
カテゴリーのカレントロケールを知りたいだけなのなら、
POSIX::setlocale() を引数一つで使います。
setlocale 関数 を参照してください)。
use POSIX qw(locale_h);
# Get a reference to a hash of locale-dependent info $locale_values = localeconv();
# Output sorted list of the values for (sort keys %$locale_values) { printf "%-20s = %s\n", $_, $locale_values->{$_} }
localeconv()
は引数を取らず、戻り値としてハッシュに対する
リファレンス を返します。
このハッシュのキーは decimal_point
や thousands_sep
のように
整形された変数名であり、格納されている値はそのキーに対応する値です。
ある実装が提供しているであろうすべてのカテゴリーをリストアップしている
長いサンプルは POSIX/localeconv を参照してください。
しかしながら、一部のものが多かったり少なかったするかもしれません。
ロケールを問い合わせるジョブの関数のように use locale
する必要が
ないことに注意してください。
localeconv()
は常にカレントのロケールを監視しています。
以下の例は、コマンドラインで渡されたパラメーターをカレントのロケールにおける 正しい書式に書きなおすというものです。
# See comments in previous example require 5.004; use POSIX qw(locale_h);
# Get some of locale's numeric formatting parameters my ($thousands_sep, $grouping) = @{localeconv()}{'thousands_sep', 'grouping'};
# Apply defaults if values are missing $thousands_sep = ',' unless $thousands_sep;
# grouping と mon_grouping は小整数のパック済みリストになって # います。これはgrouping (thousand_seps と mon_thousand_seps # はグループを分けるものです)の数と金銭に関するものの指定を # 行っています。その整数の意味はこうです: 255はグルーピング # しないことを意味します。1から254はカレントのグルーピングで # 使用する数値を意味します。グルーピングは右から左へ(下位桁から # 上位桁)と適用されます。下の例では最初のグルーピング以外は # 使わないことによってこれを避けています。 if ($grouping) { @grouping = unpack("C*", $grouping); } else { @grouping = (3); }
# Format command line params for current locale for (@ARGV) { $_ = int; # Chop non-integer part 1 while s/(\d)(\d{$grouping[0]}($|$thousands_sep))/$1$thousands_sep$2/; print "$_"; } print "\n";
ロケール依存の情報を問い合わせるその他のインターフェースとしては I18N::Langinfo::langinfo() 関数があり、少なくとも UNIX 風のシステムと VMS で利用可能です。
以下の例は langinfo()
関数自身と、 langinfo()
の引数として使う 3 つの
定数をインポートします: 1 つは現在のロケールでの週の最初の日の省略形
(番号は日曜日=1として振られています)、後の 2 つははい/いいえの質問に
対しての肯定および否定を現在のロケールで表すものです。
use I18N::Langinfo qw(langinfo ABDAY_1 YESSTR NOSTR);
my ($abday_1, $yesstr, $nostr) = map { langinfo } qw(ABDAY_1 YESSTR NOSTR);
print "$abday_1? [$yesstr/$nostr] ";
言い換えると、"C" (または English) ロケールでは上記のものはおそらく 以下のようなものが表示されます:
Sun? [yes/no]
さらなる情報については I18N::Langinfo を参照してください。
以下のセクションでは、基本的なロケールカテゴリーの説明をします。 先の例のように、複数の基本カテゴリーを扱うことができる幾つかの 組み合わせカテゴリー(combination categories)があります。 この事に関する詳細は、環境変数 を参照してください。
use locale
のスコープの内側にあるとき、Perl はアプリケーションで
使用する文字の照合(順番)を決定するために環境変数 LC_COLLATE
を
参照します(ラテンアルファベットでは 'b' は 'a' に続くものですが、
'á' や 'å' はどこに置かれるのでしょう?)。
また、英語では 'color' は 'chocolate' よりも後になりますが、スペイン語では
どうでしょう?
以下の照合は全て意味あるものであり、"use locale" をすれば直面することも あるでしょう。
A B C D E a b c d e A a B b C c D d E e a A b B c C d D e E a b c d e A B C D E
以下のコード片はカレントのロケールにおける英数文字をそのロケールでの 順序で出力するものです。
use locale; print +(sort grep /\w/, map { chr } 0..255), "\n";
これと、陽にロケールを無視するように指示したときのキャラクターとを 比較してみてください。
no locale; print +(sort grep /\w/, map { chr } 0..255), "\n";
この、マシン本来の照合(同じブロックの前のほうで use locale
を
していない方)は生のバイナリデータのソートに用いるもので、
最初の例で使ったロケール依存の照合は通常のテキストに使うのに便利です。
ロケールを使う で述べたように、cmp
は use locale
が有効なときには
カレントの照合ロケールに従って比較を行いますが、
この結果が等しいと出た場合には文字毎の比較に逆戻りします。
この逆戻りが嫌ならば、POSIX::strcoll() を使うことができます。
use POSIX qw(strcoll); $equal_in_locale = !strcoll("space and case ignored", "SpaceAndCaseIgnored");
$equal_in_locale は照合ロケールが空白キャラクタを完全に無視し、 大小文字の区別を無視するような辞書に似た順序付けを 指定している場合には真になるでしょう。
「ロケールにおける等価性」の検査を他のものに対して行いたい(一つの)
文字列があるときにあなたは、POSIX::strxfrm() を eq
と一緒に
使うことによって多少の効率アップができると考えるかもしれません。
use POSIX qw(strxfrm); $xfrm_string = strxfrm("Mixed-case string"); print "locale collation ignores spaces\n" if $xfrm_string eq strxfrm("Mixed-casestring"); print "locale collation ignores hyphens\n" if $xfrm_string eq strxfrm("Mixedcase string"); print "locale collation ignores case\n" if $xfrm_string eq strxfrm("mixed-case string");
strxfrm()
は文字列を引数にとり、それを同様の変換を加えられた文字列との
文字毎の比較に使えるような文字列に変換します。
「フードの中では」、ロケールに影響された Perl の比較演算子は
strxfrm()
を両オペランドのために呼び出して、その後で文字毎の比較を、
変換された文字列に対して行います。
strxfrm()
を陽に呼び出すこととロケールに影響されない比較を行うことで、
上記の例は変換をセーブするようになります。
実際にはこれは何もセーブしません。
Perl の魔法(perlguts/Magic Variables を参照)は、比較の際に必要であれば
最初に変換された文字列を生成し、それからそれが再び必要になるまで
取っておくのです。
cmp
を使って書き直したサンプルは可能な限り早く実行されます。
また、文字列に埋め込まれているナルキャラクターにも対処します。
strxfrm()
を直接呼び出した場合、ナルは終端子としてみなされます。
そして、変換後の文字列がシステムを越えて使えるようなものであると
期待してはいけません。
また、あるオペレーティングシステムのバージョンで作ったものが次の
バージョンでも同様であるということも期待してはいけません。
一言でいうと、strxfrm() を直接呼び出してはいけない、ということです。
Perlに呼び出しをさせましょう。
注意: 幾つかのサンプルでは、必要がないので use locale
がありません。
strcoll()
や strxfm()
はロケール依存の結果しか生成しませんので、
常に LC_COLLATE
ロケールを参照するのです。
use locale
のスコープにあるとき、Perl は LC_CTYPE
ロケールの
設定に従います。
これは、アプリケーションの英字かどうかの扱いを制御します。
これは、英数字 -- つまり、英字、数字、および下線やハイフンと言った特別な
文字を含みます --に関わる正規表現のメタ表記 \w
に影響します。
(正規表現に関するさらなる情報については perlre を参照してください)。
LC_CTYPE
のおかげで、ロケール設定に依存した 'æ', 'ð',
'ß', 'ø' のような文字が \w
文字として認識できるのです。
LC_CTYPE
ロケールはまた、小文字と大文字との間の相互変換に使われる
マッピングを提供します。
これは大文字小文字変換関数 lc()
, lcfirst, uc()
,
ucfirst()
とダブルクォートで囲まれた文字列の中での \l
, \L
,
\u
, <\U> による大文字小文字変換、そして s///
による置換、
i
修飾子を使った(大小文字を無視する)正規表現パターンマッチングに
影響を及ぼします。
さらに、LC_CTYPE
は POSIX のキャラクタクラステスト関数、isalpha(),
islower()
などにも影響を及ぼします。
たとえば、“C”ロケールを 7 ビットのスカンジナビアのものにしたとすると、
多分あなたは驚くことになるでしょうが、"|" が ispunct()
クラスから
isalpha()
クラスに移動するのです。
注意: 壊れた、あるいは悪意のある LC_CTYPE
ロケールの定義は、
不適切なキャラクターを英数字であるとみなしてしまう可能性があります。
(アクセント記号のない)文字や数字の厳密なマッチング、例えばコマンド文字列の
ロケールを気にするアプリケーションは no locale
ブロックの内側で
\w
を使うべきです。
セキュリティ を参照してください。
適切な POSIX::setlocale() 呼び出しの後、Perl は LC_NUMERIC
ロケール情報を参照します。
これはアプリケーションが printf()
, sprintf()
, write()
といった関数を
使ったときに数値をどのように整形するかということを制御するものです。
文字列から数値への変換には、関数 POSIX::strtod() も影響を及ぼします。
大部分の実装では、小数点を表わすキャラクターを '.' から ',' へと
変更するだけの効果しかありません。
これらの関数は三桁毎の区切りなどについては考慮しません(この事について
心配があるのなら localeconv 関数 を参照してください)。
print()
により生成された出力もカレントロケールの影響を受けます:
これは "C" ロケールで printf を使ったときの結果に対応します。
Perl の、数値と文字列との間の内部的な変換はこれと同じです。
use POSIX qw(strtod setlocale LC_NUMERIC);
setlocale LC_NUMERIC, "";
$n = 5/2; # Assign numeric 2.5 to $n
$a = " $n"; # Locale-dependent conversion to string
print "half five is $n\n"; # Locale-dependent output
printf "half five is %g\n", $n; # Locale-dependent output
print "DECIMAL POINT IS COMMA\n" if $n == (strtod("2,5"))[0]; # Locale-dependent conversion
I18N::Langinfo と RADIXCHAR
も参照してください。
標準 C では LC_MONETARY
カテゴリーを定義していますが、その内容に
影響される関数はありません。
(規格委員会の経験によって、それらはワーキンググループがこの問題を
蹴り出すことに決めたことを認識したのでしょう。)
結果として、Perl はこれに注意を払いません。
もし本当に LC_MONETARY
を使いたければ、自分でその内容を
問い合わせることができます。
(localeconv 関数 を参照してください)。
そして返ってきた情報をアプリケーションの通貨量の整形に使います。
しかし、この情報を取得することはできるでしょうが、大量かつ複雑で、
要求に対して本当にあったものではないでしょう。
金銭に関する書式は手におえない代物なのです。
I18N::Langinfo と CRNCYSTR
も参照してください。
人が読みやすい、整形された日付/時刻文字列を作り出す
POSIX::strftime() によって生成された出力はカレントの LC_TIME
ロケールに
影響を受けます。
したがって、フランスのロケールでは、%B
書式指定子(省略のない月の名前)を
一年の最初の月に対して使ったときの結果は、“janvier”となります。
以下の例は、カレントロケールにおける長い月名のリストを得るものです。
use POSIX qw(strftime); for (0..11) { $long_month_name[$_] = strftime("%B", 0, 0, 0, 1, $_, 96); }
注意: use locale
はこの例では必要ではありません。
strftime()
は常にカレントの LC_TIME
ロケールを参照し、ロケール依存の
結果のみを生成します。
I18N::Langinfo と ABDAY_1
..ABDAY_7
, DAY_1
..DAY_7
と
ABMON_1
..ABMON_12
と ABMON_1
..ABMON_12
も参照してください。
残ったロケールカテゴリー LC_MESSAGES
(別の特定の実装により
提供されていることもあるでしょう)は、現在の Perl では、標準の Perl 配布
パッケージにはない拡張モジュールや OS やそのユーティリティから呼ばれる
ライブラリ関数が使っている可能性を除けば、使っていません。
$!
の文字列値と、外部のユーティリティから与えられたエラーメッセージは
LC_MESSAGES
で変更されているかもしれないことに特に注意してください。
移植性のあるエラーコードがほしい場合は、%!
を使ってください。
Errno を参照してください。
Perl のセキュリティに関する事項の主な議論は perlsec にありますが、 Perl のロケールの扱いに関する議論はそれがあなたのロケール依存の セキュリティ事項に対して注意していなければ不完全です。 ロケールは(特に特権のないユーザーが自分のロケールを構築するのを許すような システムでは)信用できないものなのです。 悪意のある(もしくは単に壊れた)ロケールはロケールを使うアプリケーションを 予期できない結果にする可能性があります。 以下に幾つかの可能性を挙げます。
安全なファイル名やメイルアドレスを検索するための正規表現で \w
を使うと、
“>”や“|”を英数字と主張するような LC_CTYPE
に
だまされてしまう可能性があります。
$dest = "C:\U$name.$ext"
のような、大文字小文字変換を伴った文字列の改変は、
不正な LC_CTYPE の大文字小文字変換テーブルが有効であるときに
危険な結果を生成する可能性があります。
陰険な LC_COLLATE
ロケールは "D" 等級の生徒の名前を
"A" の前に置いてしまう結果にさせるかもしれません。
手間を惜しまずに LC_MONETARY
にある情報を使うアプリケーションは、
ロケールがおかしいと、負債を預金のように扱ったり、その逆にしたり
してしまうかもしれません。
あるいは、香港ドルの代わりに US ドルで支払いをさせたりしてしまうかも
しれません。
strftime()
により整形された日付情報は、LC_DATE
をいじりまわすことの
できる悪意あるユーザーにより操作されてしまう可能性があります
(「見てくれよ、こいつ俺が日曜日にビルディングにいなかったって
言ってるよ」)。
このような危険は、ロケールシステムに特有のものではありません。 意地の悪い変更を通して同じような攻撃を受けるようなアプリケーション環境の あらゆる状況が対象となります。 同様に、これは Perl に固有なものでもありません。 環境を考慮するようなプログラムを書くことのできるあらゆるプログラミング 言語で同様の危険性があるのです。
perlは例示したようなすべての可能性からあなたを守ることはできません。
あなた自身の用心に代り得るものはないのです。
しかし、use locale
が有効であるとき、Perl は汚染チェック機構
(perlsec を参照)を、ロケールに依存した結果であり、
信用できないかもしれない文字列に注意するために使用します。
以下は、ロケールにより影響を受ける可能性のある演算子や関数の汚染される
振る舞いのまとめです。
比較演算子 (lt
, le
, ge
, gt
, cmp
):
スカラの真/偽(もしくは未満/等しい/越えている)の結果は 決して汚染されません。
大文字小文字変換 (\l
, \L
, \u
, \U
)
展開されたものが含まれる文字列は use locale
が有効な
場合には汚染されます。
マッチング演算子 (m//
):
スカラの真/偽の結果は決して汚染されません。
配列コンテキストの結果や、$1 などから派生したサブパターンは
use locale
が有効であるときには汚染されます。
そして、\w
(英数字にマッチする)、\W
(英数字以外にマッチする)、\s
(空白キャラクター)、
\S
(空白でないキャラクター)を含む正規表現サブパターンも同様です。
マッチした結果を保持する変数、$&、$`(マッチした部分より前)、$'(マッチした
部分より後)、$+ (最後にマッチしたもの)、そして \w
、\W
、
\s
、\S
を含む正規表現も、use locale
が有効であるときには
汚染されます。
置換演算子 (s///
):
マッチング演算子と同じ振る舞いをします。
また、=~
の左側のオペランドは、use locale
が有効のとき、
\w
, \W
, \s
, \S
の正規表現マッチングによる置換か、
\l
, \L
,\u
, \U
の大文字小文字マッピングによって、
値が変更された場合、汚染されます。
出力書式関数 (printf() と write()):
結果は決して汚染されません; なぜなら、もしそうでないなら、
例えば print(1/7)
のような、print からの出力ですら
use locale
が有効のときは汚染されることになってしまいます。
大文字小文字変換関数 (lc(), lcfirst()
, uc()
, ucfirst()):
use locale
が有効なときに、結果が汚染されます。
POSIX ロケール依存関数 (localeconv(), strcoll()
,
strftime()
, strxfrm()):
結果は決して汚染されません。
POSIX 文字クラステスト (isalnum(), isalpha()
, isdigit()
,
isgraph()
, islower()
, isprint()
, ispunct()
, isspace()
, isupper()
,
isxdigit()):
真/偽の結果は決して汚染されません。
三つの例を使って、ロケール依存の汚染を説明します。 最初のプログラムはそのロケールを無視して、実行されません。 汚染検査が有効であるときには、コマンドラインから直接とった値を 出力ファイル名として使うことはできません。
#/usr/local/bin/perl -T # Run with taint checking
# Command line sanity check omitted... $tainted_output_file = shift;
open(F, ">$tainted_output_file") or warn "Open of $untainted_output_file failed: $!\n";
このプログラムは、汚染された値を正規表現を通して 「洗浄」(laundering)することにより実行できるようにできます。 以下に挙げる二番目の例は、これもロケール情報を無視しています。 実行されると、コマンドラインにある名前のファイルを可能であれば作成します。
#/usr/local/bin/perl -T
$tainted_output_file = shift; $tainted_output_file =~ m%[\w/]+%; $untainted_output_file = $&;
open(F, ">$untainted_output_file") or warn "Open of $untainted_output_file failed: $!\n";
これを、非常に良く似てはいますが、ロケールを使ったプログラムと 比較してみてください。
#/usr/local/bin/perl -T
$tainted_output_file = shift; use locale; $tainted_output_file =~ m%[\w/]+%; $localized_output_file = $&;
open(F, ">$localized_output_file") or warn "Open of $localized_output_file failed: $!\n";
この三番目のプログラムは、$& が汚染されているので実行に失敗します;
これは use locale
が有効であるときの \w
を含んだマッチングによる
結果です。
Perl が起動時にロケールの設定に失敗した場合に警告を出すのを抑制できる 文字列です。 オペレーティングシステムのロケールサポートがなんらかの理由でなかったり、 壊れていたりするとき、あるいは環境変数に設定したロケールの名前を 間違えていた場合に発生します。 もしこの変数が存在していないとか、あるいはその値が評価すると0に ならないようなもの、つまり“0”や“”でない場合に、Perl はロケールの設定に 失敗するとメッセージを出力します。
注意: PERL_BADLANG は警告メッセージを出さないようにするだけです。 このメッセージはあなたの使うシステムのロケールサポートになにかの問題が あるということを伝えるものですから、あなたは問題が何なのかを 確かめるべきでしょう。
以下の環境変数は Perl に特有のものではなく、アプリケーションのデータの
扱いを制御するための標準的な(ISO C, XPG4, POSIX 1.c) setlocale()
メソッドの
一部分です。
LC_ALL
は「全て上書き」ロケール環境変数です。
もしこの環境変数が設定されていると、他のすべての環境変数を上書きします。
注意: LANGUAGE
は GNU の拡張で、GNU libc を使っているときにのみ
効果があります。
Linux を使ったときなどがこれに該当します。
あなたが「商用の」UNIX を使っているのであれば GNU libc は
使われていないでしょうし、LANGUAGE
は無視することができます。
LANGUAGE
を使った場合には、コマンドからの情報、警告、エラーといった
メッセージの言語に影響を及ぼします(言い換えると LC_MESSAGES
と
似ています)が、LC_ALL よりも優先順位は下です。
さらに、これは単一の値ではなくて言語(ロケールではありません)の、
“:”で連結された「パス」になっています。
より詳しい情報は GNU gettext
ライブラリのドキュメントを参照してください。
LC_ALL
がないときに、LC_CTYPE
は文字タイプのロケールを選択します。
LC_ALL
と LC_CTYPE
の両方ともない場合、LANG
が文字タイプの
ロケールを選択します。
LC_ALL
がないときに、LC_COLLATE
は照合(ソート)ロケールを選択します。
LC_ALL
と LC_COLLATE
の両方ともない場合、LANG
が
照合ロケールを選択します。
LC_ALL
がないときに、LC_MONETARY
は通貨形式ロケールを選択します。
LC_ALL
と LC_MONETARY
の両方ともない場合、
LANG
が通貨形式ロケールを選択します。
LC_ALL
がないときに、LC_NUMERIC
は数値表記のロケールを選択します。
LC_ALL
と LC_NUMERIC
の両方ともない場合、LANG
が数値表記を
選択します。
LC_ALL
がないときに、LC_TIME
は日付・時刻表記のロケールを選択します。
LC_ALL
と LC_TIME
の両方ともない場合、LANG
が日付・時刻表記の
ロケールを選択します。
LANG
は「包括的」なロケール環境変数です。
これに値が設定されている場合、LC_ALL
も、各カテゴリーの LC_...
も
設定されていないときの最後の参照場所として使われます。
LC_NUMERIC は数値出力を制御します:
use locale; use POSIX qw(locale_h); # Imports setlocale() and the LC_ constants. setlocale(LC_NUMERIC, "fr_FR") or die "Pardon"; printf "%g\n", 1.23; # If the "fr_FR" succeeded, probably shows 1,23.
そして文字列が POSIX::strtod() によってどのように数値としてパースされるかも 制御します:
use locale; use POSIX qw(locale_h strtod); setlocale(LC_NUMERIC, "de_DE") or die "Entschuldigung"; my $x = strtod("2,34") + 5; print $x, "\n"; # Probably shows 7,34.
5.004 より前のバージョンの Perl では、ほとんど ロケール情報を無視して、
たとえプログラム環境が別のものを指示していたとしても常に "C"
ロケール
(setlocale 関数 を参照) が強制されているかのように
振る舞っていました。
デフォルトでは、Perl は今でもこのように動作するので、過去互換性があります。
Perl アプリケーションをロケール情報に注目するようにしたいのなら、
use locale
プラグマ(use locale プラグマ を参照)を
使わなければなりません。
5.002 から 5.003 の Perl は、使用可能である場合には LC_CTYPE
の情報を
使っていました。
つまり、\w
はロケールの環境変数に従った文字を理解していたのです。
問題は、C ライブラリがロケールをサポートしている場合には Perl がそれを
使ってしまい、ユーザーがこの機能を制御できないということでした。
5.004 より前のバージョンの Perl では、ロケール毎の照合は I18N::Collate
ライブラリモジュールを使うことで可能でした。
このモジュールは現在、やや時代遅れとなっていて、新しいアプリケーションでは
使用を避けるべきものです。
現在、LC_COLLATE
機能は Perl のコア言語に統合されました。
スカラデータのロケール固有の比較は use locale
を使うことで完全に
行なわれます。
このため、I18N::Collate
のスカラリファレンスを使ってお手玉する必要は
もはやないのです。
ロケールによる比較とソートは通常、デフォルトのソートに比べ二倍から 四倍遅くなります。 また、メモリの使用量も増大します。 Perl のスカラ変数がロケールの照合規則を使ったなんらかの文字列比較や ソートの中で現れると、それによって以前より三倍から十五倍の時間を 要するようになります(実際のところの乗数は文字列の内容、オペレーティング システム、ロケールに依存します)。 この性能ダウンは、Perl によるものよりもオペレーティングシステムの ロケールシステムの実装によるものが顕著に現れます。
write()
と LC_NUMERICフォーマットは Perl で、プログラムのロケールから来る情報を無条件に
使用する唯一の部分です。
プログラムの環境で LC_NUMERIC ロケールが指定されていれば、書式指定された
出力にある小数点のキャラクターは常にそこで指定されたものが使われます。
書式指定された出力は use locale
によって制御することはできません。
なぜなら、このプラグマはプラグマのあるブロック構造に結び付けられていて、
また、歴史的経緯によってフォーマットはブロック構造の外側に
存在しているからなのです。
ftp://dkuug.dk/i18n/WG15-collection にロケール定義の大規模なコレクションが あります。 これがサポート無しのものであり、どんな目的にも適合するとは 主張していないものであることに注意すべきです。 あなたの使うシステムがロケール機能のインストールを許しているのであれば、 この場所で便利な定義を見つけることができるでしょうし、あるいは自分で ロケールを定義する基礎となるようなものを見つけられるかもしれません。
"Internationalization" (国際化)はその最初と最後の文字、そしてその間にある 文字数から i18n としばしば略されます。 同様のやり方で、"localization" もしばしば l10n と省略されます。
国際対応は標準 C や標準 POSIX に定義されているように、不完全で、扱いにくく、 粒度が大きすぎると酷評されます(ロケールは、単一のスレッドであるとか、 ウィンドウグループといったものに対して適用するのが便利であるときにも プロセス全体に適用されます)。 また、標準化グループに似て、世界を国に分割しようとする傾向があります。 しかし現在のところ、これが私たちが手にすることができる唯一の標準なのです。 これはバグとして解釈できるかもしれません。
Unicode 対応は Perl 5.6 から開始され、バージョン 5.8 でより完全に 実装されました。 さらなる詳細については perluniintro と perlunicode を 参照してください。
通常はロケール設定と Unicode は互いに影響を与えませんが、例外もあります; 例については Locales in perlunicode を参照してください。
幾つかのオペレーティングシステムにおける環境でのロケールサポートは、
おかしなもので、Perl がそれに対処したり使ったりできないようなものです。
そういった不完全なものは、use locale
が有効になったときに Perl を
不可思議なハングアップに導いたり、コアダンプをさせたりします。
このようなシステムに直面した場合、詳しい状況を <perlbug@perl.org> に
レポートし、そして使用しているシステムのベンダーに不満を伝えてください。
問題の幾つかに対するバグフィックスがされているかもしれません。
そういったバグ修正は、オペレーティングシステムのアップグレードと
呼ばれることがあります。
I18N::Langinfo, perluniintro, perlunicode, open, POSIX/isalnum, POSIX/isalpha, POSIX/isdigit, POSIX/isgraph, POSIX/islower, POSIX/isprint, POSIX/ispunct, POSIX/isspace, POSIX/isupper, POSIX/isxdigit, POSIX/localeconv, POSIX/setlocale, POSIX/strcoll, POSIX/strftime, POSIX/strtod, POSIX/strxfrm.
Jarkko Hietaniemi の原文書 perli18n.pod は perl5-porters の助けの元、 Dominic Dunlop によって大きく変更されました。 表現に関しては Tom Christiansen が少し作業をしました。
Last update: Thu Jun 11 08:44:13 MDT 1998